
思えばトリコロールを中心とした生活になって四半世紀以上が経つ。よく続けてきたものだ。こんなに飽きっぽいのに。
「スタジアムでは現実を忘れられる」とよく言われるが、それでは週末の刹那的快楽であって、再び訪れる週明けにはおそらくげんなりしてテンションが下がる。これでは現実から逃げているだけだ。いつか破綻する。
週末のスタジアムは底抜けに楽しい。でもそこで満足してはいけない。もっともっと楽しくなるはずだ。楽しいことはどんな時でもたっぷりと手にいれてもいい。願望レベルでは全然足りない。行動してみる。そのアクションを自分の生き方に色濃く滲み出るくらいにまで定着させると、満足な人生を送ることができる。心が豊かになる。トリコロールをめぐる生活が「生き方」になる。
僕の家族はマリノスを中心として「淡々と」動いている。力が入っていない。スタジアムにいれば興奮するけど不思議なほど淡々としている。それは私たちの「生き方」だからだ。
娘は今年17歳になるが2004年シーズンからスタジアムに通いその年の優勝の瞬間は2階ゴール裏のベビーカーの上で迎えた。この年から僕達家族のトリコロールの物語が始まっている。十数年の二人だけの生活に彼女を加えてから間違いなく私たちの生活は心の上で豊かになった。これからが楽しみだ。
「死んでもトリコロール」。この意味は深い。
text by @usuppera_torico
photo by @Kaori771210